レストラン・ドミトリーゑん

ブラジルのビーチリゾート・NATALでインド・タイ料理レストランとドミトリーを営む日本人家族の毎日。

わが家には鶏が4羽いる。

居る、っちゅうか飼っておるのだ。

 

オスが1羽にメスが3羽。

メスの内訳は、老婆1・ぴちぴち1・少女1。

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オスのハレム状態であるのだが、

鶏社会をうまく運ぶには、オスが少数のほうが良いのだと近所の人から教わったんよ。

 

 

メスのうちの1羽・老婆は、食べるために買ってきた。

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初めて生きた鶏を処理して、東北ブラジルの郷土料理・ガリーニャカビデーラを作るために。

この料理・Galinha Cabidelaは、

鶏の血で鶏肉を炊く、という単純にして濃厚美味な料理なのだ。

まだ食べたことがなく、こっくりとした見た目から味を想像して

とても楽しみにしとった。

鶏を処理するのは恐ろしいばってん、

日々、人が処理してくれた鶏を食べとるだけじゃいかん、と思うて、

命をいただく、っちゅうことを身をもって知るためにも

経験したいと思うとった。

 

で。

ある日の夕方。

ついに、ばあさん鶏を食べるぞ、っちゅう段になって、

鶏をつかまえるために庭を探しまわりよったら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 卵をみつけた!

 

 

 

 

 

 

もうたまごを産む能力もなくなった老婆だと思っていたのだが、

「わたくしまだまだ現役ざますよっ、しめないでくださいねっ」と

言うとるのだな!

 

 

っちゅうわけで、命拾いした老婆は、まだわが家でのびのびと育っておる。

いちばん根性が悪いのもこのばあさまで、

ほかの2羽の若いピチピチと少女をどついて蹴散らし、

自分だけがエサを独り占めにしようとする。すごいよなぁ。

 

 

わがレストランでは、基本のだしは鶏ガラでとる。

鶏の足や首、あばらの骨などをタマネギや人参、にんにくとともに、

じっくり炊いて美味いスープをこしらえる。

だしをとったあとの、とろとろになった鶏の足や首などは、

うちの鶏たちのエサになる。

彼らは実に喜んで鶏肉を食べる。

菜食かと思いきや、雑食。そのうえ、共食い・・・シュールやなぁ。

 

 

 

ところでオレは、

肉のなかでは鶏肉がいちばん好きだ。

ここに暮らし始めて2年経つのだが、

肉は、鶏肉しか食べぬ選択をしようかな、と

思い始めておる。

 

っちゅうのも、牛やぶたが身近にいっぱいおるんよ。

みな、食用に飼っているので、大きくなるとすぐに食べる。

乳牛は、乳をしぼれなくなったら、やっぱり食べる。

 

牛も豚もとてもかわいいのだ。

飼い主も、とてもかわいがって育てておる。

それでもいつの日か、食べることができることは、立派やなぁ、と感心する。

 

オレは牛やぶたを自分で処理することができるかな、と考えてみた。

「ぜったいにしきらんやろうな」と、結論した。

あんな大きな動物、しかも哺乳類。とてもできぬ。

人に処理してもらった牛や豚は食べるのに。情けないな。

 

で、このような環境で生活していると、

ルールを自分に課したくなってきたのだ。

自分で処理することのできる生き物のみ口に入れたいと考えるようになったんよ。

 

魚は釣って、さばくことができる。

だから魚は食べてよし。

牛は処理することができない。だったら食べてはいけない。

鶏なら、処理することができるかもしれん。

 

と、庭をどたどた駆け回る鶏たちを見ながら思う。

あんまりかわいがって情がうつるとしんどいよなぁ、と。

 

 

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