レンガのおうち
『3匹のこぶた』の物語では、3匹の子豚ちゃんたちが自活しようとして、
それぞれの家を建てる。
1番目のこぶたは、わらで家を造る。
せっかく造った家は、オオカミに、あっ、っちゅうまに吹き飛ばされてしまう。
2番目の子豚は、木材で家を造った。
ばってんこの家も、オオカミに吹き飛ばされてしまう。
・・・オオカミっちゅうのは、
そんなに肺活量があって鼻息が強い動物だったのだなぁ。
そんでから、3番目のこぶたはレンガでおうちを造った。
これはオオカミの息では吹き飛ばんかった。
この話の教訓は、『おうちはレンガで造りなさい』っちゅうことやろか。
わらや木の家は弱くてつまらんばい、っちゅうことかいな。西洋思考やな。
日本の家をレンガやコンクリートでつくると、
室内にカビがはえやすくなる、という難点がある。
日本の気候に合うのは、風通しのよい木の家。
木造の家こそ、日本の光景にも似合いとても風流でみやびやかだとオレは思う。
さて。
ブラジルの建築の90%以上が、レンガを用いておる。
一般の小さな一戸建ても、超高層マンションも、
ファベイラとよばれる貧民集落の掘建て小屋も、レンガでできておる。
そして、おそろしいことにどれだけ背の高い高層マンションにも
鉄筋はほとんど使われておらんのだ。
どんどんどん、とセメントで固めて積み上げてゆくだけ。
地震のない国なので、このような建築法なのだが、
もし大地震がきたら・・・と想像すると、ぞっ、とする。
かくゆうわが家も、修理・改装には、このレンガをよく使う。
お世話になっとるブラジルのレンガであるのだが、
このレンガについてオレは疑わしい気持ちをぬぐえない。
まず第一の疑心暗鬼点は、
日本のレンガのようにずっしりみっちりと重くないこと。
とっても軽いんよ。
第二の信用できん点。
ブラジルのレンガには、穴が開けられておるのだ。
ひとつのレンガに8つの空洞が作られている。
軽いはずだし、弱いはず。
軽いので、非力な女であるオレも、片手にふたつずつくらい持って
運ぶことができる。
こないだ4つもって運んでいたら、落としてしもた。
そしたら、4つのうち2つが割れたしもた! なんて弱いんだ!!
もともと壁だった箇所にあらたに窓を作ろう、っちゅうことになった。
壁に穴をあけるためにどうしたかというと、
金槌で、壁をどんどん叩いた。
そうすると、レンガの壁は、ぼろぼろと崩れていき、
あっ、ちゅう間に、壁に四角く大きな穴をあけることができたのだ。
オレも金槌で叩かせてもらった。
面白いように、レンガは崩れた。
このことから得た教訓は、
『かなづち1本でドロボウになれるぞ』、だ。
オオカミも、ブラジルのレンガの家やったら、
吹き飛ばせたかもしれんなぁ、と思う。
だって木のほうがよっぽど重くて頑丈に感じるもん。
とはいいつつ、郷に入れば郷に従え、で、脆弱なレンガの家に暮らしとるオレ。
オオカミが来ないことを祈ろう。